9歳差は、アリですか?

家に入るといい匂いがした。予想通りというか、爽やかな柑橘系とメンソールの匂いが鼻を抜ける。甘いフラワー系やスイーツ系ではなさそうと思っていたが予想通りで嬉しくなる。

パタパタと台所に入り買って来たものを解く。慌てて浅岡も立原に倣って台所に向かった。

「あ、いいよ。適当に座ってて」
「いやでも、作って貰うしちょっとだけでもお手伝いしたいので」

意外に立原はそれ以上食い下がらず、じゃあ、とカマボコを取り出し適当な大きさに切るよう指示する。
あまり包丁を持ったことのない浅岡はカマボコを目の前にして固まった。手伝うとは言ったが、やばいカッコ悪、俺。

「あの、これどれくらいのサイズに切るんですか。適当ってどれくらいが。…あと、直に切っちゃっていいんですか?金属の上ですけど、まな板とか…」