アラサードライ女の身分で胸きゅんとか犯罪だ。ため息を吐いて最寄り駅で降りた。勿論有無を言わさないよう、浅岡の腕を掴みながらだ。

「そこのスーパー寄るから」

短く告げ、さっさと店に入る。しかし立原はカゴを持ったところで、一旦浅岡を振り向いた。

「…食べたいもの。ある?」
「えっ、食べたいものですか?い、今は…麺類が食べたいです」
「麺類?もっと狭めてよ」

言いにくいのか、浅岡は口ごもる。

「あっ、その、ちゃんぽんとか食べたいなー、なんて。すみません、ダメですよね我儘で」

笑って流そうとする浅岡を無視して食料品コーナーに向かった。急いで付いてきた浅岡を立原は軽く見ると中華麺を取る。