ガキたちを見送った後、6年前を思い出し若かかったなあと自分を鼻で笑いつつ、立原は一旦自分のデスクに戻った。休日返上の為、明日の準備を少しでもしておこうという魂胆だ。
しかし、気を抜くとすぐ庭での浅岡のすっと通った横顔がよぎり、舌打ちをする。忘れたはず、なんで出てくんのよバッカ。
素直にたまには恋をしてみたいという気持ちと、9歳差だから恋愛感情なんてとんでもないという気持ちがぐちゃぐちゃになっていく。「お姉さん」だからしっかりしなくちゃ、と思って避けてきたが、だいぶ掻き乱されていたようだ、9歳も年下に。
ふと気づくが、学生の時はあれ程しつこかったのに、今日は一度も告白して来なかった。しかし、もし今日も「好き、付き合って」と言われていたらなんて答えたのか自分でも分からない。