「あ、高校生は大丈夫⁉︎よかったー」

ぱっと上司の表情が明るくなる。どうやら高校生絡みらしく少し身構えた立原はホッとする。高校生ならまだいい。
中学生以下は本当に苦手とかではなく、嫌いだ。

「実は、僕の息子が今高3なんだけど大学附属の高校に通ってて、あっ、立原さんの後輩になるかな?帝都学院高校。それなりに優秀なんだ」

嬉しそうに話す上司だが、大切な一人息子と言っていたため、親バカとは思わずそんなもんかあ、という感想だけに留まる。
中学校と高校が附属されている立原の母校の後輩たちに、立原の場合、高校から入ってそれなりの成績だったため恥ずかしくないのが救いだ。ちゃんと勉強してた学生時代の自分を褒めたい。

「ごめん、脱線しちゃったね。それでそのままエスカレーター方式で大学に受かったんだけど、法学部の政治学科でさ。ウチ政治部でしょ、見学させてくれないかって言われてさ。僕『いいよー』って軽く言っちゃったんだよね。それでよくよくスケジュール確認したら会議入ってて…。言いにくいんだけど、早い話が代わりに案内してくれないかなと思いまして。息子含め友達の何人かもいるんだけど、無理かな」