いつもの合コン合コンと騒ぐ同僚ではなく、友人のような立原を気遣う目をしていた。

「真佐美っ、あんた合コン…」
「そんなもん抜けてきたに決まってんでしょ。まさかあんな嫌がられるとは思わなかったし、それにここ一年くらいどんなに言っても合コン折れてくれないし…、普通なんかあったのかなあって心配にはなるよ」
「ごめん」

ここ一年、合コンに頑なに行かなかったのはもちろん浅岡がいるからであるが、今たった現在からフリーになったようだ。意外と心配なんて柄じゃないのにと、少し微笑ましくなり、立原は濡れた目で同僚に柔らかく笑った。

「ごめん真佐美。ありがとう。ーーーえっと…、その、合コンの方抜けて来て大丈夫なの」
「大丈夫じゃないけど、まあ仕方ないわよ。友達の方が心配だし」
「いいわよ」
「ん?」

すうっと息を吸い、意を決する。

「合コン、待たせてんでしょ。あたしも行くわ。今更だったかしら」
「え?」

返って来るとは思わなかった返事だったようで、同僚は拍子抜けした顔を晒す。

「で、でもあんた彼氏いるんじゃ…」
「やっぱり知ってるんじゃない!その上で合コン誘って来るってどうよ」

やはりおしゃべり先輩に話してしまったからだろうけど、彼氏の情報知った上で合コンに誘っていたとは、前言撤回だ。心配とか友達だからとか、少々イラっと来たがまあいいだろうと、同僚のほうけた顔に苦笑した。浅岡の事を考えないで済むならもうどうでもよかった。
もう合コンでも何でも行ってやる。

初めての嫉妬に立原がグレた。