特に行くあてもない為、ゆっくり歩きつつ考える。恐らく同僚も巻けただろうしとペースを落とした。

する事もないし悠くんちに行こうかな。事実照れ臭くて、鍵をもらって以来一度しか行ったことがないのだが、たまには30手前でおこがましいかもしれないが可愛い彼女をやってみたい。晩ご飯でも作ってあげよう。

珍しく立原がそんなことを思い、くるりと向きを変えて駅にまずは向かった。悠くん麺類好きだからなあ、少し暑くなってきたし冷製系作ろう、あ、だったらまずスーパー寄らないと。
いつもと違う方向から駅に向かっている為、どこの店がいいかわからないが、スーパーを見つける前にデパートを見つけたのでそこに入る。あまり利用しないところだが食料品売り場の品揃えはよく、少しテンションが上がった。

「パスタかな、やっぱり」

口の中で呟く。嬉しくて思わずにやけそうになるのを立原はグッと堪えた。最近本当に幸せすぎて心配になって来る。アラサードライ女が未成年にぞっこんっでこんなに幸せでいいのか。そして、好き過ぎて信じていない訳ではないが、未だにまだまだ若い浅岡と付き合っていて大丈夫なのか、ただただおばさんに気を遣って別れを切り出しにくいだけで本当は面倒くさいんじゃないか、と考えてしまう。