しかも相手はあの合コン同僚だった。嫌な予感するなあ、あのおしゃべりな先輩に彼氏いるって言っちゃったからもう知ってるだろうし、うるさいだろうなあ。立原は今日早番で5時には終業していたので浅岡を家に誘ったのだが、大学の用事があるらしく断られていて、なんなら、と久々に家飲みしようとしていたのだが、その平安は早くも崩れ去っていきそうだ。
悲しいなああ、とぼんやり思いながら、電話に出る。

「はい立原」
「涼子!」

もう第一声からうるさい。顔をしかめてから適当に対応する。

「何よ、あたし今日早番でゆっくりしてたんだけど」
「知ってるわよ、そんなこと。で、あんた今から出られる?」
「はっ?」
「今家なんでしょう?今から出てきて!合コンじゃないわ、少し話があるんだけど」

ああああ、嫌な予感的中のようだ。ここで行かなかったら、と立原はすぐさま脳内でシミュレーションする。
そして、ああ、これは行った方がダメージ少ないパターンだな。なるべく省エネを目指す立原はビールを一瞬見て、諦めでため息をついた。

「わ、分かったわよ。どこに行けばいいの」
「局下の駅でとりあえず待ち合わせでいい?」

どうせ拒否権はない。ここで素直に言う事聞いていた方が後々面倒くさくない。

「はいはい」

折角の早番なのに最悪である。