なんだか変な空気になる。そうすると、先程のキスの感触が蘇る。デザートの甘さがほんのり香るキスだった。
なんて、どんだけ変態なんだあたし!

「涼子、じゃあ次はちゃんと撮ろうか?」
「うん。ーーでもなんかあたし変態みたいじゃない?」
「なんで?変態っていうならそれは俺の方だと思うけど。だって四六時中涼子の事頭から離れないし、隙あらばキスのタイミング伺ってるんだよ?」

おかしそうにケラケラ笑う浅岡を見て、少しホッとする。とんでもない事を浅岡は言った気がするが全く嫌な気分にはならない。そういうことなのだろうか。
なんだ、あたしたちどっちも変態なんじゃない。
ふっと笑い、携帯を構える浅岡に机を挟んで体を寄せる。そして、2枚目になるツーショットを撮った。

シャッター音が響くと胸がぐうと一杯になって心地いい息の苦しさを感じる。

アラサーになって好きな人と写真を撮るという行為はこれ程にまで、幸せな事なのだと立原は初めて実感した。