9歳差は、アリですか?

別で、いろいろ見て回るうちにピンと来て小さい水槽を立原は手に取った。

「闘魚…じゃなくて、へえ『ベタ』っていうのね」

綺麗な深い青の魚をじっと見つめる。小さい水槽に入っており大人しそうだが、微かに揺れる尾鰭が綺麗だ。

「涼子、決まった?」
「うん、悠くんは?」
「俺も決まったよ」

そして合流してお互い選んだ魚を見せ合う。

「あ、涼子もベタなんだ。青もいいね。涼子らしいっていうか」

なんと浅岡が選んだのも色は違うが同じベタだった。白っぽくて黄色の模様がところどころにあって爽やかだ。

「白かあ。爽やかで本当に悠くんっぽい」

クスリと笑い、手を繋ぎ直していくつもの水槽に埋もれるレジに向かう。

「すみませーん。お会計したいんですけど」

少し待つとぬぼーっとした無精ひげを蓄えた男が出てきた。土曜日だというのにマイナーだけあって、なんとも商売気の無い雰囲気である。しかし、立原も浅岡も何かわからないがこの不思議な空間が気に入り会計を済ませた後も店をぐるりと回り、それから少し早いが昼食に向かう。
お昼は唯一二人で行き先を決めたカフェだ。