9歳差は、アリですか?

もうセミロングという長さではない髪を心配そうに見つめる。こんな適当な髪型じゃ一緒にデートで歩けない。悠くんカッコイイから、少しは身なりに気を遣いたい。
好きでもなかった相手とのデートは適当にやり過ごしてきたが、浅岡は違う。本気の恋で、本気で好きなのだ。
デスクの下で携帯を操作し立原は半年以上行っていない美容院の予約を取った。正直自分でも珍しいの一言しか出てこない。
浅岡の髪型の好みは分からないが、少し頑張ってみるつもりだ。かわいいと思って貰える彼女になるために。
二日後に迫るデートの前に今日も家庭教師を口実とした家デートがある為、無表情と有名な立原でも口元が緩んだ。今日は何を作ろうか、とパソコン打ちながら思い巡らした。

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浅岡はデートを取り付けた翌日魂が抜けたように意識が浮いていた。

「ハルカ、大丈夫か?」
「ーーーーん?何が?」
「全然大丈夫じゃないな」

ヨッシーが心配そうに浅岡を覗き込む。知らず、浅岡はもう絶頂だ。腑抜けて顔がゆるゆるで折角のイケメンが台無しである。脳内は立原とのデートプランについてでいっぱいだ。しかしデートに関する情報・知識が乏しく具体的なイメージはできていない。そこで、ヨッシーに心配されていた事に気付かずあっけらかんと突然向き直った。