「ガキか、面白い。立原さんらしいね。まあウチの息子もガキなんだけどねえ」

電話越しで笑う上司に合わせて立原も苦笑する。ごめん、部長の坊ちゃんには全く気が行ってなかった。

「ええまあ、もうすぐフロアの見学は終わるので、まだ時間もありますし庭に連れて行こうかと思っていたんですが」
「おー、いいね。写真の一つでも撮って置いてよねー」

写真か、面倒臭い。が、上司のツテで来ているガキたちなので上司の頼みなら仕方がない。

「それくらい大丈夫ですよ」
「あ、それと一つお願いがあって電話したんだけど、…」

人当たりよく答え、電話を切った。ああ、面倒臭い。しかし、合コンに強制連行されるよりは遥っかにマシだと自らを洗脳し、最後くらいはと少しだけ微笑しながら高校生たちを振り返った。

「じゃあ、今からウチの庭に行きます。今日は晴れているから結構綺麗だと思うけど」