拗ねたような表情を隠しきれていないあたりが可愛らしい。

「この前駅で?いつ」
「一カ月くらい前。駅でたまたま涼子をあのカフェで見たんだ。その時、知らない男に迎えに来てもらってたから、彼氏なのかなあって」
「…ああ、多分上司よ。やめて、あれが彼氏なんて。無理無理、向こうも嫌だろうし。ていうか、あれ悠くんの従兄弟さんじゃない。気づかなかったの?」
「嘘、あれコウちゃん⁉︎気づかなかった!てか、涼子と同じ職場だったの⁉︎あいつそんな事全然言ってなかったのに!」

悔しそうに鼻の上にしわを寄せる。なんだか、やきもち妬いてくれたんだと嬉しくなって、立原は頬を緩ませた。
結局結論は全て笹山が悪いという事で落ち着き、周りに人がいる事もあり二人は隅に移動した。

「悠くん、そういえば、」
「涼子。ダメそれ。俺に心配かけたんだから、悠くんって言っちゃダメ」
「え?」
「悠くんって言うと弟感出るから嫌だ。俺は涼子の、…彼氏だから、別がいい」
「別って…」

難しいオーダーだ。何か数ヶ月離れていて、甘えたがりにも成長していたようだ。