9歳差は、アリですか?

「ーーーあいたい」
「ごめんね、ほんとに…」
「ーーー悠くんッ」

焦りから感情がぐちゃぐちゃになって行く。せめてプレゼントは渡してあげたかった。折角包んでもらった本は握り過ぎてラッピングがめちゃくちゃだ。

「悠くん…っ」

ごめんね、あたしッ、
涙が溢れてきそうで上を向いた。嫌味なくらい晴れていて卒業式日和な天気だ。結局こういう結果なのである。そろそろ諦めなければいけないだろう。
静かに瞼を閉じて息を深く吸い込んだ。

「ーーー涼子…?」

その時後ろから誰かに呼ばれた気がした。

「涼子、さん?」

後ろからの声に動けないうちに再び呼ばれる。この声は忘れる訳がない、間違える訳がない。固まったまま本当に動けない。

「涼子さん、だよね」

やはり。
浅岡だ、この声は。愛おしいような感覚になる。会いたかった。ごめんね酷いこと言って、本心ではなかったのあれは。

「悠くん…」

ようやく声を絞り出し振り向く。