なんだかんだと、意外に話していたようで黙り込んでから少しで駅に着いた。着くなり笹山はそそくさと下車し、立原を見らずに挨拶して帰る。

「課長、ーーーお疲れ様でした」
「あ、ああ…」

先程どうやら言い過ぎたようだ。フリーとかバカとか言ってしまったのが応えたのか、目すら合わさずとっととホームを出て行った。

「課長、顔とかあんま似てないのにな、悠くんと。性格もあそこまで自信過剰じゃないし。でも、一生懸命なところとかちょっとずれているところとか似てる、かも」

少し微笑し立原もゆっくり駅を出る。もう日も落ちていたが、家に直接帰る気分ではないので、近くのカフェに寄った。
もちろん、ブルーベリータルトを頼む。飲み物は昨日の経験を生かして、今日はホットティーを注文した。昨日とはだいぶ気持ちが違う。浅岡の事は好きだが、思い詰めるほどじゃなく少しは余裕が出てきた。もしかしたら、失恋から立ち直るきっかけになるかもしれない。

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「ハルくん、もう!ちはる全然デート楽しくない!」

昨日の今日のデート中ぼーっとしていた浅岡は「一応彼女」に話しかけられはっとした。