政治部のフロアに着くと、ようやく立原は高校生を振り返った。ざっと高校生たちを見回し手元のファイルから資料を取り出し一人ずつ配る。その際浅岡の顔は全く見ようとしなかったのは、もうすでに意識しているせいだ。

「こちらが、政治部フロアです。ここでは主に国会や内閣についての情報を整理し収集し、報道したりします。中に今から入りますが、皆さん原稿の推敲などされていますので、静かに入って下さい」

あくまで機械的に事務的に、と鉄壁の無表情を守る。ガキに動揺して無が崩れたのは、ただ、 気が抜けてしまっていただけだ。高校生たちに見えないよう気合を入れると案内を開始する。

「あ、立原さん。これは何の機械なんですか?」
「これは今何をしておられるんですか?」
「どんな仕事をされるんですか?」

意外によく質問してくる。