「あたし…好きな人いるので」

「あたし凄くその人が好きなんです。初めてちゃんと本気で好きになれて、一緒にいたいって思ったんです」

どれほどの女かと思い試しに立原に告白してみたが、こちらもぞっこんのようで…若いなあと独りごちるが、そろそろくどくも感じるため笹山は仕方なくアクションを起こす。

「浅岡悠…、って知ってる?」

案の定、鉄壁の無表情さえ崩れるくらいの破壊力を浅岡の名前は所持していた。面白い。初々し過ぎる立原と浅岡に爆笑しそうになるのを肩を揺らしながら堪える。

「じゃあそろそろ、ネタバレに行こうか」

隣同士、笹山は明るく立原に微笑んだ。

「ネタバレ?」
「そう、ネタバレ」

✳︎

「浅岡悠、まあ簡単に言えばハルカは俺の従兄弟なんだよね」

笹山の突然のカミングアウトに立原は絶句した。従兄弟って悠くんと従兄弟って、

「で、ハルカのお兄さん的存在だから、色々恋愛相談とか乗ってたんだ。勿論君のことなんて全て筒抜けでしたからね」
「筒抜けって…」
「ハルカが初恋した時からずっと君のこと聞いてたし、アドバイスしてたし」
「そ、そんな前から⁉︎」
「だってそんなに気になるなら告白してみればって言ったの俺だもん。あいつバカ正直だからすーぐ実行しちゃってびっくりしたけど」

あんたの差し金だったのか!呆れて声すら出ない。6年以上昔から、立原のことが筒抜けだったとは恥ずかしくて顔を上げていられない。