「おーい、篠崎いるかぁ?」

千影を呼ぶ声だ。


北野ミカたちが一瞬ハッとして固まる。


「やば!ミカ、タケちゃんだよ!」
「めんどくさくなるから、行こ!」

北野ミカは、尚も千影を睨み付けていたが……踵を返し、校舎の方へ去っていった。


〈今日の分は、終わった〉

千影はホーッと息をついた。

ゆっくり立ち上がり、スカートについた砂をパンパンと叩く。


右手を見ると、やはり血が出ていた。


「お、いたいた篠崎!探してたんだよ」


やって来たのは担任の竹本先生だった。暑さに顔をしかめながら、ハンカチでおでこの汗を拭いている。