それから夏はいつもみんなで集まっている部屋の隣のドアを開けた。


おい、ここ私入っていいのか?


だって、ドアに"総長室"って書いてあったぞ?



私がドアの前で立ち止まっていると夏が



「早く入れ」



と言うので、足を踏み入れた。


ここも黒。




黒しかない。






……パタン



後ろのドアが閉まった音がする。


「……………ん」

夏は私にかばんを差し出す。

「……私のだ!なんで?」

「さっきの男が持ってきた。」


私は中身を確認する。



カツラ、携帯、財布…。


携帯のなかはいじられて……ない。


金は……取られてない。


よかった。


「ありがとな」


私はそう言って部屋から出ようとした。


けど、


「まだ話は終わってねぇ」


と、夏が腕を掴むのでそれは無理だった。