「よし、しゅっぱーつ。」 葵がペダルを踏み込むと、自転車は昼間よりも少しゆっくり走り出した。 風に流されて、柑橘系の匂いが鼻をくすぐる。 制汗剤…… なんか、私変だ。 嫌い。 嫌い。 私は葵が嫌い。な、はず… だよね? 大嫌いな幼なじみと再会した場合⑤ バスケをする葵はほんのちょっとカッコいい。