「バーカ。すれ違うとき本人に聞いたんだよ。

別ルートから先生たちがここまで下りてくるらしいから、お前はここにいろ。」



「ど、どこいくの!?」



「お前のお守りはダルいから自分で崖登る。」



「はぁ!?無理に決まってるじゃん。」



「何?寂しいわけ?」



「っちが!!」




葵はいつもみたいに声を上げることなく、口の端を釣り上げて笑った。



その大人っぽい感じにドキッとする。





そんな私の気持ちなんて知るよしもなく、葵は崖に手を掛けた。




「待って!」