「全員聞けー!」 その時、フリーズしかけた私は先生の一声に救われた。 「雨やみそうにないから、下山して観光に予定変更だー!」 みんなが途端にザワザワしだす。 「観光かー。ちょっと楽しそうだね。」 深雪は嬉しそうに私に笑った。 「そうだね……」 チラリと窓の外を見ると、もう葵たちの姿はなかった。 きっとロッジの中に入ったのだろう。 てゆーか、なんでこんなに葵のこと考えなきゃいけないんだし! 私は苛立ちを抑え込んで深雪の方に向き直した。