「さいってー! 葵なんてだいっきらい!」 私は泣きながらそう叫ぶと、さっきまとめておいた荷物を掴み取ってカラオケルームを飛び出した。 外はすっかり暗くなっていた。 家の近くまで走ると、息はすっかり荒くなっていた。 「なんで……あんなっ……」 唇に残った感触をセーターの袖でゴシゴシと拭き取る。 「だいっきらい!!葵なんて!バカ……」 ―14歳の秋の日 それは美しい初恋の日々の終わり。 そして 悪夢のような日々の始まりだった。