「ど、どうしよ…。」
「どうもこうも部屋入るしかねぇだろ。」
「……うん」
いやいや、どうしよう!どうしよう!
さっきから心臓バクバクだし、
葵はなんだかんだこの状況を受け入れてるし……
『そしたら俺、お前を襲う自信あるわ。』
なんで葵あんなこと言ったのー?
これじゃあ緊張でまともに会話すらできない…。
「恵麻。」
「はいっ!!!」
「…………
仕方ねぇな。」
「え?」
「いいか、いまからこの部屋の住民に接近禁止令を出す。」
接近禁止令…?
「互いの布団のなかに足踏み入れんの禁止。
下心ありで互いに触んのも禁止。
オッケー?」
「え…う、うん…。」
「よし。じゃあ緊張やめてテレビでも見ようぜ。」
ああ、そっか。
葵、気ぃ遣ってくれたんだな。
テレビの前に気だるそうに座る葵に胸がきゅんと鳴る。
「ありがと。」
葵は照れくさそうに「何が」と呟いて、テレビのチャンネルを回した。



