いつの間にか時間は過ぎ、

葵と離れると16:00になっていた。



「あ…えっと、帰る?」


「いや、まだ。」



そう言うと、葵はまた私を抱きしめた。



「葵っ…苦し……」


「わりぃ」



あー、なんかすごい幸せだ。


この3か月 口が利けなかったことも、

ううん、2年間葵を憎んでいたことも、

全部どうでもよくなるくらいに。







恋を春と言い換えたのは誰だろう。


なんてぴったりだろうと思った。


手先までかじかむ冬の日に

私は春の風を思い出していた。