「キスすらしてないらしーじゃん。 とんだチキンだな、お前。」 「っテメ…」 「こいつに突き飛ばされたんだっけ? 「真田やめて」 友達としてしか見てなかったってことだろ。」 「やめて!」 葵のシャツをつかむと、葵は私に振り向いた。 その表情がせつなげで、私までいとおしい気持ちになる。 「来い、恵麻」 さっきとは対照的に割れ物を扱うみたいにそっと掴まれた手。 なんか…断れない。 私って乗せられやすいのかな。 そう思いつつ、葵に引っ張られて歩いていった。