あのキスが本気だったとか、ありえない。
そしたらキスの後にあんなセリフ言えないはずだし。
絶対葵にとっては冗談だったんだ!
なのに…………
「キャー、クレープ久々!」
「俺子供のとき以来だわー。」
「マジで!?人生損してるよ!」
目の前には今か今かと順番を待つ深雪と
ケラケラとバカっぽく笑うチャラチャラサイテーバカ男、真田 葵。
なんでお前がいるんだー!
せっかくの深雪とのデートがぁっ!
私が不機嫌に葵を睨んでいると、
「お前、何食いたい?」
なんて言って、嬉しそうに笑いかけてきた。
く…くそっ……
「イチゴ…カスタード……」
「俺もそれ食いたい。買ったら一口くれ。」
「そう言うんだったら、真田のも一口ちょーだいよ?」
「ハイハイ。」
ハッ…
ふと我に返って深雪の方を見ると、さっきクレープを心待ちにしていたときよりさらに嬉しそうに私を見ていた。
だから!
違うってばー!
声を大にして言いたかったけど、
我慢してその声を口の中に留めた。



