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この気持ちを得て、俺は何をすればいい?




「佳乃(ヨシノ)ちゃん、俺どうしたらいいと思う?」


俺は、数学準備室で机に頭を乗せて呟いた。
すると、


「先生をちゃん付けで呼ぶな」


と言いながら、丸めた教科書で頭を叩かれ、俺は「いたっ」とうめいた。


「いいじゃん、可愛いでしょ」


「北沢のほうが可愛い名前でしょ」


「……いや、多分変わらないと思うけど」


俺は頭を上げ、今度は後ろに体重をかける。
ギッと椅子が軋んだ。
先生も、近くにあった椅子に腰かけた。
長身で茶髪で短髪。ちょっと童顔気味なのがコンプレックスらしい。
眼鏡をかけたらインテリっぽくなると思うが、残念ながら視力は2.0。


「で、何しにきたの。カウンセリングならこの下の階の突き当たり。」


「あそこにいきたくないから佳乃ちゃんのところに来たんでしょ」


俺は眉間に皺を寄せて答えた。
カウンセラーの先生と言っても、いい歳したただのおばさんだ。
綺麗な人ならともかく、資格を持っているかも不明で、明らかに男子生徒を狙ったあの目に映るのは嫌だ。

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