それは、梅雨のある日のこと。




連日の雨で、喜んでいるのはカエルとカタツムリとナメクジくらい。





登校の時に濡れてしまった靴下の湿り気を




最悪だ…




と思いながら、森山宙子(もりやまひろこ)は窓側の席から外を眺めていた。





前の席で、仲良しになった田中郷愛(たなかさとみ)も、今日はまだ登校していない。






ざわついた朝の教室で、始まってまだ数ヶ月の高1の教室に、宙子はすでに退屈を感じていた。