~Runa side~


暖かくて気持ちのよいぬくもり…

あー…離れたくないな…

すると、

テノールボイスが聞こえた…。


『…大丈夫だ、俺がついてる…。』







まわりのガヤガヤとした騒ぎで目が覚めた



ここ、



どこ?





私は朝登校して、靴はきかえて…




あっ




男にあったんだ…


そのあとどうしたっけ…




必死に記憶を辿ろうとしていると、
真上から声が聞こえた…
夢の中で聞こえた声が、

顔をあげるとそこには



あの昇降口にいた男の人だった…



やっぱりか…



てことはここに連れてきたのも
この人だよね…。







まぁとりあえず、
ここから降りたいんだけど…

確か…レオ?って言ってたっけ、

レオが強く腰をガッチリと掴んでるから
降りるにも降りれない。



……



『…あのー…下ろしてください…。』

『やだ。』




即答!!


しかも駄々をこねる餓鬼かッ!!

呆れながらも下ろしてくれるのを待って
ずっとレオを見てると…



『…なんだよ、人の顔ジロジロ見て…。』

『(だから、下ろして欲しいんだって…!)』


意味のない睨み合いが始まると、
レオが折れて離してくれた。

なんか達成感が芽生えて、
ほんの少しだけ笑えた。


するとそれを目視してたレオが
若干顔を背けて、


『お前っ…笑ってた方が良い!!…』

と意味の分かんない事を言われて
首を傾げると、

まわりに居たらしき人達が
これでもかと眼を大きく開けていた。

全く理解できない…。





私はレオの隣から立ち上がり、屋上の出入口に向かおうとした。

『…どこいくんだ…。』

レオが怪しげに此方を見てくるので素直に


『教室に行く。』と言った。


またもや皆を驚かすような事を言っただろうか、皆はビックリしていた。



そこで何かを確認するかのように
一人の男が問いかけてきた…。


『すみませんが、貴女は私達がどのような者なのか知っていますか?』

真面目そうに眼鏡をして物腰柔らかい口調だけど目は笑っていない男が聞いてきた。


これも素直に言って良いよね…

『…いえ、全く知りません…初対面ですよね…?』


逆に訪ねられると不安になり、知り合いがこの高校に居るとしたら、今すぐ転校の手続きをしなくちゃいけないな…と深く考えていたがその必要も無いみたいだった…。


『はい、初対面ですが、“青龍”という組織をご存知ですか?』


あっ…やっぱり、この人たちは族に入っている人たちだったんだね。


青龍かぁ…そんな気がした…。


『はい、知ってます…。』



でもそんなのどうでも良い…。

あたしに必要なのは、時間と逃げ道だけ…


男は眼鏡をしてクイッとあげると
探るような眼を強くさせた…。


『私達がその青龍ですが…。』



……




この場にいる青龍の人たち全員が
あたしを警戒したのが分かった。
ここまで嫌悪感が伝わってくるほど
私のような“女”または“人”自体を
嫌っているようだった…。

今までどんな眼に合わされてきたんだろう。ここの人たちはもとは純粋な人たちばかりに違いない…。
人によって傷ついてきたんだね…。



もし、この場にいるのが私じゃなくて他の人だったらどうなんだろ。

泣いて喜ぶ…?

嬉しすぎて叫ぶ…?

それとも、

恐怖で怖がる…?





私は…




どれにも当てはまらないと思う。

多分無表情をしていて変な風に見えていると思う。




何でこんなにも無表情なのかだって?



だって…



興味ないもん。


そんな人たちだからって
別に興味が持てない。

何、宇宙人呼べるの?

動物と話せるの?

死んだ人生き返らせるの?


そんなんじゃないんなら、
私と同じ普通の人間じゃん。



だけど、あえて言うなら…



この人たちと関わりを持ちたくないな。
何故なら、また私…



人を傷つけちゃうから…。


私は誰とも関わりたくない、
私のせいで人を不幸にさせて、苦しめて
闇に落として…
もうそんなの、懲り懲り。

相手が暴走族だから怖いんじゃない、
相手が威圧的だから嫌いなわけじゃない。


逆に言うとね…



貴方達が羨ましい。
自由に生きてるって
自分の住む世界があるって
いいなー…。


私には無いから…。