俺らはいつも通り、
溜まり場の屋上で授業サボってると

レオが遅れてきた。


でもレオの腕のなかには
信じられないものがいた。





レオはあれほど顔をみるのでさえ嫌がった
“女”を抱えて入ってきた。



レオは女を抱えていつも座ってるソファーに腰掛け、女に膝枕で寝させた。


俺達は驚きすぎて呆然とその異様な光景に絶句していた。



すると、
寝てる女が寒そうに身を縮めたのを見て、
レオは『毛布を取ってこい。』と言い
取ってきた毛布で優しく女にかけてやっている。




『どういうことか、説明していただきましょうか。』


その場で唯一顔色ひとつ変えずにその異様な光景を指摘したのは、

副総長の龍崎 優(りゅうざき ゆう)


冷静で冷酷な参謀を務めている。

レオの血の繋がった兄弟で、弟だ。
レオとは全く正反対の性格をしていて
それでもレオを心から慕っている。



『貴方の連れてきた“モノ”は貴方から考えつかないような物ですよ。』

口調は優しいもの、内容は探るように異様なことを指摘している。





『優の言う通りだぜ!!何でそんな女をこの溜まり場に連れてきたんだよ!!』






人懐っこい顔をして、純粋に興味があると言うかのように問いかけてきたのは
幹部の中で一番喧嘩の強い



攻防隊長の櫻木 夏(さくらぎ なつ)



まわりのメンバーも夏に続くように
それに頷いた。


幹部暴走隊長、宮川 空(みやがわ そら)

幹部医療隊長、染谷 純(そめや あつし)

幹部情報通達隊長、尾崎 亮(おざき りょう)




『黙れ、夏…。
見つけたんだよ…こいつを…。』





全員はその言葉で何を指してるか
理解できた…。


レオの唯一の心を許した女性、
存在してるのかさえ疑わしかったが
本当に存在してたとは
その場の全員が驚きを隠せないでいた。



『その子が…。
…ですがレオ、その子が夢の中の女性と
重なるだけで、同一人物とは限りませんよ。考え直してはみませんか…。』


確かに優の言う通りだと皆は頷くが


『俺が間違えるはずはねぇ“コイツ”だ』



その自信のある物言いに
全員が折れた…。



ある一人以外は…






(…調べなくてはいけませんね…。
この女が白なのか黒なのか…。)


優はその異様な女を認めはしなかった。