屋上に着くと、
そこはまるで楽園のように感じた。

雲ひとつない晴天の空、

暖かく穏やかな春風が吹き

先程までの嫌悪感が嘘みたいに
清々しく気持ちのよいものに
変わっていた。





この屋上からは学校全体を見渡せ、
丁度登校してくる学生を伺えた。

この学校に来る奴は大抵が
似たり寄ったりだ。

四神龍聖会の下っ端や幹部、

また俺達暴走族を憧れる男と

俺達をモノにしようとする女…

金持ちの奴は真面目な者がほとんどで

俺達に近寄ろうともしない。







俺達をみる目は大きく分けるとふたつ


“恐怖”“欲”







ただそれだけ…。


俺達を人としても見ようとはしない。






ふと闇に眩んでいた自分に気がついて、
それを振り払うかのように
校門を通る生徒に目を移した…。



すると、




ほぼ全員が通り終えたと思った校門に
一人の女が通った…。

その女を俺はみた瞬間目を疑った。




夢の中に現れたあの少女がそこにいた。
遠くからでも分かる、あの少女だ…。

夢とは違うのは泣いていないところだけで

色素の薄い、茶色の髪…
美しい黄色がかった瞳…
酷く整った容姿…

全てが夢の中の少女と全く同じだった。






体が風を切る感覚がして
額に汗が流れてるのに気がついた時
俺は夢中でその少女を追いかけてるのに
気がついた。



会ったこともないその少女を…