恭平先輩が待っ屋上へ向かいました。



屋上は茜色の空に囲まれていて
綺麗な夕陽が沈もうとしています。

フェンスに寄りかかって
私の事を待っている恭平先輩…


今さらにして、緊張してきた。



恭平先輩は私の気配に気づきこっちに体を向けてその男らしい鋭い目を私に向けた。

恭『どうしたの?急に呼び出して…』

瑠『…あのっ、私…』

恭『悪いけど、急いでもらえる…





俺の彼女待たせてるから…。』










!?!?






瑠『先輩…彼女居たんですね。
ごめんなさい。私その事知らなくて…
言わせてください!!
ずっと前から恭平先輩のことが大好き
です。付き合ってください!!』





……。




恭『悪い…、俺そんなつもりないし、
黒川のことは俺あんまり好きじゃな
いんだ…ごめん…。
彼女待たせてるから俺帰るな…。』









別に……分かってたよ…










でも、








“好きじゃない”って酷いです…


本当に大好きだったのに…
先輩が初恋なのに…


酷いよ…









私は家には帰らず、
自分のクラスの席で誰にも届かない嗚咽を漏らして泣いた…。








コツ…コツ…コツ…



『…瑠那…?』










はっとして振り向くと
そこにいたのは…




直樹だった…



直『何で泣いてんの…』

瑠『…っ、直樹に関係ない…!!』

瑠那は涙でぐちゃぐちゃな顔を見られたくなくて、一人になりたくて、
直樹の横を通りすぎようとしたら…



ガシッ



直樹に腕を捕まられて先へ進めなかった。

瑠『っ、放して…!!』

直『放すかよ!!』


今まで見たことないくらい
怖い顔して私に怒鳴った…。


直『好きな女が、目の前で苦しんでんの
に放っておけるかよ!!』

瑠『…っ』

直『俺を頼れよっ、我慢すんなよ!!
お前が苦しんでる姿なんか見たくね
ぇよ…。』


直樹…


私なんか好きになっても幸せになんかなれないよ…。

直樹の気持ちは凄く嬉しい、
でも直樹に抱いている気持ちは“恋”じゃないよ。






私なんか好きになってくれてありがとう。





だから今だけは、
心に傷を持った今だけは…




瑠『…っ、心が、痛いよ…。』

直『ああ…。』


直樹はそっと瑠那を抱き締めて
優しく、『大丈夫だから…俺がついてる。』言いながら、背中をさすってくれた

直樹は私に特別な存在にはなれない…、
想いが叶わないと知りつつも、
今もこうして私の側で
優しくしてくれる…。
本当にごめんね…。

だけど、
今だけは直樹の与える温もりに
甘えさせてください。
これは罪なことですか?


直樹の抱き締める強さと暖かさが
今の瑠那には安心するほど
心地良かった。

その事が瑠那には罪悪感を抱かせた…。


なのに、無意識に直樹の背中に手をまわし
ギュッと服を握りしめる自分がいて、
直樹の胸に頭を寄せ素直に泣いてしまう
自分がいた…。



残酷だよね…私…。