俺の住んでるアパートは、偶然にも早苗先生の住んでるマンションの隣で、たまたま仕事終わりが同じだと、一緒に帰る。

最初は、話すことなんて無く無言で帰っていたが、回数を重ねることで他愛ない会話を笑いながらする位に至る。

俺が冗談を言ったりすると、早苗先生は
必ず笑う。
俺はその眩しい笑顔が好きだったりする。


駅からしばし歩くこと数分。細い路地を通る。
そこは結構細いため、車が通ると人一人分のスペースしか無くなる。

.........。

「早苗先生…。」

ふと唐突に早苗先生を壁に追い詰め自分の体を重ねる。

すると驚いたのか、ビクッと早苗先生の体が波打つ。

「...へ?あの、近ッ.......、」

その際にふわりと微かに香る香水が俺の鼻を刺激した。

「ぁ、ちょっと、どうしたんですか?!」
早苗先生が困惑して焦った声を出す。


俺は黙ったまま早苗先生を抱いた。


「え?ぃや、私困ります…!離して…、!?」


「駄目です。」


そう、今離すわけにはいかない。
なぜなら____、



ブゥウウン___!!

その数秒後、俺の背後を車が横切るようにして通った。


「車、轢かれたいんですか?」


パッと肩に回していた手を離し、ニヤッと微笑みを浮かべた。


「な、…か、からかわないで下さいよ!車ならそうと、言ってくれれば…!!」



「...んー、からかったつもりないですが。」

あー、顔真っ赤。
早苗先生は、赤面症だからかこういう時すぐに顔が赤く染まる。

俺はその少し怒ったも可愛いと感じる時がある。

「も、もう!さっさと歩きますよ!」

そう言って先を歩く早苗先生の耳元が、真っ赤に染まっているのに笑みが零れた。


「な、何笑ってるんですか?」


「え?ぁー、いやですね~。」

“すっげー可愛いって思ったんです”

なんて素直な気持ち、口が裂けても言えないな、と思いながら


「まぁ、秘密で。」

俺は前を歩く早苗先生を小走りで追いかけた。