背中から伝わる、彼女の体温がじんわりと暖かい。

しばらく歩いていると、早苗先生が口を開いた。


「ぁの~、迷惑…かけてますよね。」

冷たい外気に頭が冷えたからだろうか。さっきと比べて、随分と呂律が回っていた。

「まぁ、そうですよね、ホント。」

否定はしない、が…。
俺は、そのまま続けて話した。

「でも嬉しいですよ。」

「え?どぅして…。」

「こうして、一緒にいられて。」

自分で言っててすごく恥ずかしくなった。
俺も、少しだけ酔っ払ってんのかな。

こんなクサいセリフ、言えるのは今日だけだ。
今日は早苗先生が酔ってるから…特別だ。

「もぉ…からかわないで下さぃよ。」

今日は早苗先生のいつものセリフに、心なしか微かに笑みが含まれている気がした。