とにかく、そんな見目麗しく性格まで素晴らしい人、木嶋 志貴(きじま しき)くんがわたしの初恋の人である。



あぁ、本に向けられているであろう伏せ目がちの視線がなんとも色っぽい。


長いまつげが光でキラキラしている姿に胸がときめく。


こうやって、ただこうして木嶋くんといっしょの空間でちら見を許されているだけで幸福を感じる。


それだけで、わたしは充分満足だ。



もうそろそろ図書室を閉めないといけない時間だな。


あぁ……この時間が一番名残惜しいんだよね。


木嶋くんと別れるというか、今日はもう終わりなんだなって。


読んでいた本と、ついでに今日返ってきた本をいっしょに片付けよう。


といっても5冊しかないのだが。


よいしょ、と持って本のラベルを見ながら1冊1冊戻していく。


あと1冊、というところで、わたしに苦難が襲った。