「みゆ そっちの段ボール開けといてー」

「はーい♡」


……別に…彼女 手伝いに連れてくるのはかまわないし……

「みゆ 気をつけろよ」

ザクザク…

「うん」

人様の事 どうこう
言える立場じゃないけど……

「草ちゃーん
これはー?」

「テキトーに置いといてー」

なんか すっごいウザいんですけど!!

「引っ越し 終了!!」

「やったー♡」

「……あたしの荷物まだ残っててごめんね(怒)」

「つか よかったら手伝おっか?」

「結構ですっ!!」

「楢橋君ー
みゆきちゃーん
美紅ー」

「はーい♡」

「麦茶とお菓子こっちの部屋に置いとくからよかったらどうぞー」

「あーー!ありがとうございます!」

「美紅ちゃん 美紅ちゃん
お手洗い借りていい?」

「あ、えっとこの廊下のつきあたり…」

「ありがとー!」

「ふぅ…」

じゃあちょっと休憩っと

カチャカチャ


ピチチ…

「ふーー…」

「………ねぇ 荷物ってあんだけなの?
つかなんでこの時期に…あんた実家は?」

「……あ、そっか
言ってなかったよね、
俺がここに来た理由。」

ゴクゴク…

「う……」

「ん……?」

「……家…火事で無事に残ったのあんだけ」

「あ……その…ごめ…」

「いーよいーよ」

……家も
家族も……?

「ん″ーーー!!
広くていいねーこの家」

「…そう?」

「うん、……池之内さんはさ
下宿とか 嫌かもしれないけど……
できれば…
これから……」

カラン

「……あ、麦茶なくなっちった……」

ちゃぷん…

「……ん」

「……?」

「……もっと飲めば?」

「!!……サンキュッ!!」

カラン

ドタッ
ガシャンッ!!

「あっ」


…ガシャン?
…あっ?

チラ

「あ、その…」

その…破片はっ!!

『自分専用の欲しかったんですよね』

『俺の分』

……て…
天然デストロイヤーーー!!!!

「ご、ごめんね
私!弁償……いたっ」

「! ちょっと大丈夫……っ!!
い″っ……!破片踏んじゃっ…」

「ちょ、見して」

「へ?」

スッ…

「みゆ!血ぃ出てんじゃん!!」

あ……

「ちょっと待って ティッシュあっから」

「へ 平気
でもカップ……拾わなくちゃ」

「いいから!そんなん後で」

「…!」

「大丈夫?」

「う、うん」

「……ちょっと待ってよ…
……それ あたしの大事な……」

「……あ、……え……
俺からも謝るし!」

「…!!」

「……!!」

何…その…
〈守られて当然〉って顔?

『小澤みゆき。
略して〈オザミユ〉。』

『でも超ー天然で女子の間じゃ
超ウザいってーで、』

本当に 天然?

『…〈ウザミユ〉。』

「………そんなんだから
言われるんだよ」

カチャ…

「〈ウザミユ〉なんて………」

「へ……」

あ……

「……ちょ 待ってよ
今それ関係ないだろ」

「…あ……
あんたもすぐ横から口出ししてくんな!!
バカっ!!!!」

ガサッ
ガチャガチャ…

「ちょっおい!!」

ガラッ

「池…」

バシンッ!!

この時…

ガサガサ

本当は何に
怒ってたのか…

やっぱ下宿なんてやだ……

あたしはまだ
気づいてない。