恋愛モードでないはずの私に彼ができた。


普通の営業マン、井上さんだ。
細身スーツの似合う、典型的なオシャレリーマンだ。


「井上さんゲットかぁ~。いいなぁ~。ユウコりん、ショックよ~」
とユカリは、意地悪に笑っていた。


進展しないであろう人達とは、本当に進展しなかったが、メモリーはそのまま残している。

「はるかちゃん、お待たせ」
「お疲れさま~」

仕事帰りに、カフェで待ち合わせ、晩御飯を食べて帰る。

今日で、それも4回目だ。

「何食べたい?」
「ん~、気分は、中華かなぁ」
「どこかあったかな…」

周りから見たら、典型的な幸せカップルなんだろうな。
「かっこいい彼氏で、あの娘うらやましい」と思われたりしてんのかな?
ユウコりんとやらは、悔しがってるんだろうな。
何だかんだユカリも、そうなのかも…

そう思ったら、井上さんの「価値」は急高騰した。
「大切」にしたいと思った


これが恋愛感情なんだと思い込む事にした