思わず涙が零れてきそうになり、下唇をグッと噛みしめる。
先輩の姿を久しぶりに見れて、嬉しかったのに。
話しかけることすらもできない。
私がキスを拒否したから?
わがままなこと思っちゃったから?
翼先輩を独占したいって気持ちが出てきたから?
そんな気持ちがなかったら、今あの隣にいたのは私だったのかもしれない。
会えない時間が増える前にちゃんと会っておけば良かった。
「陽菜っ!」
走り出す私を止めようとする大希くんの声。
「え、陽菜!?」
そのもっと後ろの方で私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
だけど、その全てを振り切るように、私は走ってこの場から離れた。



