イジワルな君に恋しました。






「陽菜早く。遅刻するよ」



「奥村先輩が悪いんじゃないですかー」





もっと早く離してくれていたら、こんなに急いで行く必要なかったのに。



事の発端は私なんだけど……。





「翼、だろ?」



少し前を歩く先輩が突然振り返り、そんなことを言う。



あ、さっき私が呼んだから。






「翼、先輩……」



「そう。本当は呼び捨てとかの方がいいけど」



「それはっ!やっぱ先輩なんで」



「でも彼女だから」




彼女……。

その響きにむずがゆくなる。