「この手は何をしたかったのかな?」
先輩の質問攻めに恥ずかしさで頭が噴火しそう。
リンゴの赤さを超えて、もうゆであがったタコ並みに赤いと思う。
「陽菜ちゃんが手を伸ばしてくるなんて、俺、ビックリしちゃったな」
いつになく笑顔な先輩は、私の反応を見て楽しんでるに違いない。
どう答えればいいのか分からなくて、目をキョロキョロと泳がせる。
だけど、私を真っ直ぐに見てくる先輩に、もう目が離せなくなってしまう。
きっと言わせたいんだ。
言うまでここから抜け出せない。
覚悟を決めて、小さく口を開く。
「今、すごく先輩に触れたいって思ったんです。
だから通学路なのについ……」



