60キロ離れた町。
なかなか会えないふたり。
メールや電話がふたりの離れた距離をうめる。

尚人 花火大会があるんだけど一緒に行く?
紗菜 うん。行きたい。行ってもいいの?

ふたりは、会えない時間を取り戻すかのようにデートの約束をした。

初めての花火大会。
尚人の住む町は紗菜にとってなじみはなく尚人について歩くのがやっとだった。

花火が始まる。大きな音に驚く紗菜。
紗菜を優しくエスコートする尚人。

しばらくして、尚人が紗菜に言葉をかける。

尚人 ちょっとアミに電話してくるから待ってて。

足早に尚人は人の波をかきわけて行ってしまった。

知らない土地に置き去りにされた紗菜…
紗菜の中に疑問が残る。
私は彼にとってなんなのだろう…

アミは、尚人の元カノの友人。
デート中に、私を避けてわざわざ電話をするのはどうして?

30分程紗菜は置き去りにされ、何の説明もなく何事もなかったように尚人は紗菜の横に座る。

紗菜のいる前でアミの話をする尚人。
知らぬ間に紗菜の目に涙が溢れていく。

帰りの車の中で紗菜はなき続ける。

何年かが過ぎ、ふたりの交際は順調かに思えた。

2度目の花火大会。
尚人の友人、達也とのWデートとなった。

紗菜は語学力をいかし、企業の重役が接待で使う会員制のクラブでアルバイトをしていた。
偶然にも、達也の彼女の栞も地元のキャバクラでアルバイトしていた。

尚人は、ふたりを見比べ紗菜の耳元で

尚人 栞ちゃんは雰囲気的に会員制のクラブじゃないね。
紗菜 そおだね。語学力やピアノやヴァイオリンをひけな
いと難しいかもね。

その後、達也達と別れた尚人と紗菜は紗菜のうちへと向かった。

数日後、栞から嫌がらせとも思えるメールが届く。
紗菜が栞を侮辱したというのだ。
意味がわからず尚人に連絡する紗菜。

尚人は、事情がすぐわかった。

尚人 ごめんな。メールはスルーしていいから。
俺が達也に紗菜が栞ちゃんは、会員制のクラブじゃ 働けないと言っていたと言ったんだ。
それを達也が栞ちゃんに言ったらしくてさぁ。
紗菜が会員制のクラブで働けるわけないから、3人で お店に乗り込もうって言ってるんだよ。
紗菜 私を信用してないんだ。来てもいいけど会員制のク ラブだから入会金がかかるよ?尚人も私のこと信用
してなかったんたね。なんか、悲しい。

傷ついた紗菜は、尚人に別れたいと告げた。
尚人は、紗菜との別れをこばみ、達也と縁を切ることで紗菜との交際を続けたいと…