流可side

薄々は気づいてた。

自分の家の階段を上りながら考える。

なくなった靴に、スケジュール帳。

多分もっと他にもあるはずだ。

ガチャ、と自分の部屋に入り、

そのままベッドに倒れこむ。

ふと手から滑り落ちたのは悪口の書かれた紙。

…ほんと、なんで頼らないんだよ…

改めて紙を見てみると、

『東城君にこれ以上近づくな、ブス』

…ぐしゃっ……

紙を思いっきりゴミ箱に投げつける。

"東城君にこれ以上近づくな"?

…虚しいことを言うようだが、

優奈の方から俺に近づいてきたことは一度もない。