タッタッタララララ〜ラ♪ジャーンジャンっ♪

不意に私の大好きなジャズの着信音が響き渡り、

相手も確認せずに

画面をスライドして耳に当てる。

「もしもしっ?」

「優奈…悪い〜……」

「え、お兄ちゃんっ!?」

電話の相手はお兄ちゃん。

どうしたんだろ?

「今日な〜…帰れなくなった…」

「え、な、なんで??」

帰れなくなったって…

「…お前外の天気見てるか?」

え?外?

そう思って外に目をやる。

あ、なるほど…

「…雨…すごいね…」

「ついでに風もな…」

シーン……

「…こわい…」

「ゆ、優奈!泣くな!!」

「泣かないよぉ〜!!
泣かないけど!!」

雷は……ご勘弁を!!

「ごめんな…電車止まってるみたいなんだ…」

「そうなんだ…。お兄ちゃんどうするの?」

「友達の家に泊まる。
けどやっぱり歩いてでも…「無理無理!無理だよ!」

電車が止まってるくらいなんだよ!?

「…悪いな。ここは…背に腹は変えられねぇな…流可に任すか…」

…ん?

「流可には俺から連絡しておくからな…
じゃあ」

「えっ、ちょ、ちょっと!」

…………

無言になってしまった携帯。

えーっと…つまり流可が家に来るの?

お泊まりに?