「優奈」

…ぎゅっ……

思わずシャツの胸元を握る。

…胸が、痛い。

どこか愛しく想うように私を見る流可を見て、

私の名を呼ぶ流可を見て、

…それでもやっぱりいつも通りの流可を見て。

「…今…行く…」

私はそう言って教室を出る。

ドキン…ドキン…ドキン…

一歩一歩、流可との差が縮まる度に

胸は高鳴っていく。

ドキドキドキドキ…

流可の前に立つと、

なんとか胸の鼓動を押さえて微笑んだ。

「帰ろっ…か…」

流可はいつものようにうん

と返事をして微笑み、

私はそれに対してまた胸を痛めた。