優奈side

…結局一睡もできなかった。

のろのろと起き上がって制服に着替える。

流可のことを考えて、

その度にあの苦しそうな声を思い出して…

…ああ、もう考えるだけで苦しい…

っていうか私、

今日どんな顔で流可に会えばいいんだろ?

…というより…

顔を上げて鏡に映る唇を見る。

…どうして流可は…

キスなんてしたんだろ…

…あと私はなぜ思わず引っ叩いてしまったのか…

ただ走り去っただけだったら

もう少し気が楽なものを…

…いや、やっぱりそんなこともないか…

私は鏡から顔を背けて鞄を持ち、

いつもの時間に家を出た。