「…叩いて?なんでだよ?」

「…キス」

「…は?」

そう言った秋にため息をついて答える。

「優奈のせいにするつもりねーけどそういう状況になっちまったんだよ…」

「…いやちょっと待てよ、それ絶対お前が悪い」

「…わかってる」

そう答えて再び髪をくしゃっとする。

…でも考えてもみろよ。

急に伝えたくなったのかなんなのか、

突然好きとか言われて

俺とは違う好きだって言ったら

わかってるとか言うし。

…こんな苦しい気持ちしてんのやっぱ俺だけかって。

そう思ったら

いてもたってもいられなくて。

なんで応えてくれない?

なんで伝わらない?

こんなに…

胸を押さえると聞こえる

ドクン…ドクン…となる心臓の音。

…こんなに好きなのに。

鳴り止まない鼓動が響く中、

俺はなにも考えられなくなって、

ただ下校時間を知らせるチャイムを聞いていた。