流可side

「っ…陵君っ…!」

優奈の嬉しそうな声に、

まさか、と優奈の目線の先を見る。

そこには…にっこりと微笑む、

俺と優奈の幼なじみ、

永崎陵(ながさきりょう)がいた。

はっとしたのと同時に、

優奈が俺の手からすり抜けていく。

そして陵の元に駆け寄り…

正面から抱きついた。

ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…

なんで…ここに…

俺は一層心臓の音を体にこだまさせる。

ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…

すると優奈と…

陵が振り返ってこっちに来た。

…さっき俺が繋いでいた手を

しっかり繋ぎ合わせて。

「流可っ、流可っ!!
陵君だよ!陵君が帰ってきたのっ!!」

興奮したようにそう言って

嬉しそうな表情を浮かべる優奈。

俺は必死に

笑顔のポーカーフェースをつくって

「よかったな」

と言う。