そして数分後

ピーンポーン♪

再びチャイムが鳴って玄関に向かう。

「はーい」

そう言いながら開けると…

「わ…流可…」

なんと浴衣の流可!

少し照れくさそうだけど、

流可のお母さんの遺伝で少し高い鼻と

灰色がかった目が

余計に浴衣の良さを際立たせている。

「す、すごい似合ってるよ!」

「…サンキュー…けど恥ずい…
っつーかそれより優奈…」

流可がそう言って私の顎をくいっとあげる。

「…なにか塗った?」

ドキッ……

「あっ…えーと、グロスを…」

「…そっか、似合ってる。
浴衣もかわいーよ」

「あ、ありがと…」

そう言ってから少し俯く。

気付いて…くれた…

それがすごく嬉しくて、

ついつい笑みがこぼれる。

「…優奈?」

「ううんっ…行こっか」

「ああ」

流可はそう返事をして手を差し出す。

私はその手をしっかり握って家を出た。