しかし触れる直前に

はっと我に返って手を引っ込めた。

なにしてんだよ、ったく…

落ち着くために一度深呼吸をして

優奈に向き直る。

「…風邪ひくだろ…」

そう呟いて、優奈に布団をかけてやった。

ついでにそっと頭を持ち上げて枕にあてがう。

髪をスルッと離すと、

優奈は気持ち良さそうに

フッと口元を緩めた。

…きゅーん……

破壊力…ヤバすぎだろ…

そう思って口に片手を当てていると、

…コンコン、ガチャ。

「…オラ流可…」

「…なんもしてませんから」

斗真兄ちゃんが帰ってきたので、

俺は何回も何回もなにもしてない、と言い、

15回ほど言ったところで

ようやく家に帰り着いた。