数日後、城で与えられた部屋で荷物を纏め、風夜と飛竜のいる中庭に来ると、そこで火焔が待っていた。


「ほら、持ってきたぞ。通行証」

「ありがとう、火焔君」


火焔から通行証を受け取り、礼を言った花音の横で風夜が顔をしかめる。


「それで、そんな格好でどこ行くんだ?」


シンプルで動きやすそうな服を身に付け、足下に荷物を置いている火焔に聞く。


「ああ。俺もお前らについていくからな」

「えっ?でも、いいの?」


火焔の言葉に花音は不安そうな声を上げた。

隣国である風の国が陰の一族によって制圧されたのに、次に襲われるかもしれない一国の皇子が国を出てしまっていいのだろうか。


「いいんだよ。それに、これは父上の命令でもあるんだ」


火焔はそう返してきたが、何故かその目は花音達から逸らされている。

それに風夜も気がついていたようだったが、彼はその事に何も言わなかった。